初日に観ました!
はじめての下北沢スズナリ。
演出は鄭義信さん。
なんかもう演劇にあてられました。
見終わって下北沢から新宿まで涙目でしたよ。
ネタバレになるので、これから観る方はご注意下さい。
生の三味線と笛の力強い演奏と大人数のチャンバラからはじまりました。
次は3人の坊主がお客さんの間を「通ります」と言いながら舞台に上がってきました。はっ、それは確かわたしも『てんとう虫』の役の時にやらされ(笑)ました。ですから思わず笑ってしまいました。
この3人のお坊さんがとってもキュート。何やらお客さんの厄払いを勝手にやっては、お賽銭をせがむんです。
お客さんも、もちろんそれに答えると「ありがとうございます」と深々と頭を下げます。
歌はあまりうまくなかったけど、たくさん歌っていました。
金髪の舌足らずの侍と仲良しの女装した遊女のキャラクターもステキ。ざらめをねだる侍にのれんをくぐって遊女になったりヘルメットを被った男になっりと、二役の早着替えがおもしろかったです。
カラフルな衣装の陽気な遊女たち。
やくざの親分子分。
みんな個性的すぎます。
頼りなさそうに見える木のセットの上を駆け回ります。飛び降ります。
30センチくらいの人形が3体出てきます。演じているのは熟練男性と若い女性。
この人形が出てくると目が離せません。しかも人を殺したくて仕方ないと告白した息子を、寝ている時に殺す母親を人形で演じているのと、遊女が殺されるシーンがシンクロする所は凄かった。命乞いをしているのに、とどめを差します。
内容はきわどいのに、二時間半の舞台前半は、ほとんどお笑いでした。休憩が10分ありましたが、その間も生三味線演奏のサービス。
鄭さんはいつもお客さまのことを第一に考えてくれています。
ラストに向かって人がたくさん死んでしまいます。
殺される役ってどんな感じなのでしょうね。斬ったり斬られたり、銃で撃ったり撃たれたり。
ラストが気になってきました。みんな死んで終わってしまうのかと思いきや!
遊女たちがみんな妊婦になって出てきました。みんな明日が予定日だと言いながら大きなお腹で、白い洗濯物のシーツを干していると、死んだはずのやくざたちが、白いおそろいのジャージで現れました。
そして、しっかりと笑顔で立っている妊婦の女性の間を通りながら、男たちは次々倒れて死んでいき終わりました。
そのラストがとてもとてもとても美しかったの。白がまぶしかった。女性の晴れやかな笑顔が良かったの。
そして、演劇一筋で生きてきた方々の舞台なんだなぁって思いました。
これがプロの最高峰のレベルなんだなぁって思いました。
圧倒されました。体の奥の方がドキドキしました。
あんなに穏やかで、笑わせるのが大好きな鄭さんのどこに、こんな激しい作品を作るパワーがあるのか不思議でした。
演劇の歴史のひとつを生で観られて幸せだと思いました。