そこは以前家族や親戚とたまに行ったビストロだった。
駅前に引越してから、近くてとてもおいしくて、量も多くて高くない。
ただ店内は古く、キレイとは言えないので、気の張らない家族と利用していた。
たった2年前まで、わたしはおいしい料理を食べられる事に感謝していた。
他にも自分が恵まれていると感じた時に、良く感謝をしていた。
それで十分のつもりでいた。
でも最近は、車椅子で入れるお店だという事がありがたい。
そしておいしいお料理をサービスしてくださるマスターに心から感謝した。
普通だった日常は、普通ではなく、ありがたい事にあふれている事を、しみじみ感じて泣けてきた。
2年前のわたしは、何も足りないものが無いと思うほどしあわせだと勘違いしていた。
たくさんの感謝が、全く足りていなかった。
それに気が付けて良かったと思って泣けてきた。