わたしは弟がふたりいて
長男であるすぐ下の弟は独身です。
本家という言葉に縛られたのかどうかは わかりませんが、実家にひとりで住んでいます。
すぐ近くに次男が一家4人で家を建てて住んでいます。
ふたりは同じ会社に勤めていて、とても仲が良い方でしょう。
わたしがちょくちょく茨城県の実家に帰るのも、後を継いだ弟がとても親切にしてくれるからです。
独身というのも、気兼ねなく帰れる要素です。
5月に里帰りした時に、主人の介護でいっぱいになっていたわたしは、はじめて弟が、敷地内に住んでいた伯父と叔母の介護の手配をしていたのを知りました。
もちろん母に至っては、現在進行形で介護です。
それまでわたしは、弟の苦労を思いやったことが全くありませんでした。
独身で呑気に暮しているのだろうと、深く考える事もありませんでした。
決して愚痴を言わない弟が、何気なく言った事実に愕然としました。
また、息子の結婚式で、息子夫婦が弟にスピーチを頼んで、そのスピーチで家族をうらやむ言葉があり、はじめて弟の本心を聞いて、涙が出ました。
わたしは何も知らず、奇しくも家族を見せびらかすように、毎年里帰りをしていたのです。
認知症になった主人のために、数日しかいないにも関わらず、車椅子を買ってくれました。
わたしは、半世紀以上、弟のことを何も考えてあげていなかったのです。
主人が病気になってから、気がつく事が毎日あまりにも多いです。
やっと目の前の人を見ようとするスタート地点に立ったのかもしれません。
わがままなわたしを修行させるため、主人は認知症になってくれたのでしょう。