青地に白で大きくボタンヤと書いてた看板が出ている。
前から知っていて、本当にボタンだけで商売できるのかな?と思っていた。
コサージュに良さそうなボタンを探しに、そこに行ってみた。
店内は本当に凄い数のボタンで、中には老婦人と男性がいた。
「どれでもさあ見て」
と言われても、全て箱に入って並んでいる。
高い所にあるボタンが気になったなので、そこに置いてあったハシゴに登り、老婦人に教えてもらうままに、気になる箱だけ前にずらし、サッと抜く。
だるま落としの要領で取り出す。
値段は全て箱に書かれていて、1つ千円。高いからあきらめた。
レースも少し売っていた。
ショーケースから自分で取り出して見るシステム。
上品な白のレースを1メートル買う事にした。
すると老婦人が「アンティークな感じでコサージュに使う安い」ボタンを見つけてきてくれた。
1個200円なので5個買うことにした。
その間にも老婦人は、常連さんらしい女性のコートに似合うボタンを探している。
女性のボタンが決まる頃
「そうそう、あなたにピッタリのものがあるの」
と奥に呼ばれ、秘密の引き出しを開けてくれた。
そこには、残った切れ端のリボンがあって「1本100円でいいわ。あら思ったより良いのがあるわね、もう少しもらっていい?」
「ほんとステキ、もう少しもらって」
わたしは、ステキなニットのリボン2本と、肘当てにする、かわいいアップリケを、秘密の引き出しから見つけ出した。
男性は終始穏やかに、老婦人の頼みを聞いていたので
「息子さんですか?いいですね」
「そうなの。おしゃれなのよ」
と満面の笑みを浮かべた。
わたしがアタオのお財布を出すと
「アタオね、わたしも持ってるの」
「わたしも好きでバッグも持っています。神戸ですし」
「あなた神戸なの?」
「いえ、神戸のお店なので応援したいし」
買ったものでコサージュを作ったら、見せに行こうかなぁ。