会社の敷地に出入りしていたノラネコ(花子)
すっかり毛が抜けてしまって、みすばらしい姿でした。
Mさんは、嫌がるネコを病院に連れて行きました。
「ネコのエイズで治療の施しようがないです」
と言われ、そのネコを自宅に引き取り半年間面倒をみていたそうです。
しかし、昨日の5時に亡くなりました。
今日は本家のお母さんの三回忌で、親戚が集まっていました。
法事が終わりお食事の場所に移動しようと外に出ると、Mさんが立っていて
「どうしたの?」
「文香ちゃんと雛子ちゃんに大事な話があります」
「ネコのこと?待ってて」
娘たちを呼ぶと、花子が亡くなった事をふたりに告げ、花子を拾った時のことを色々聞いてきたのでした。
子どもたちが小学生のころ、公園にダンボールが置いてありました。
雛子が「あのダンボールの中にネコの赤ちゃんが入っているんだよ」と半ば冗談でのぞくと、本当に入っていて「マンガみたい」と興奮して持って帰り、そのまま会社の敷地でみんなでエサをあげていたのです。
花子はMさんが仕事から帰るのを待っていたように、苦しみだして亡くなったそうです。右の頬がぷくっとふくらんでしまったそうです。
涙を流しながら、子どもたちに「少しでも花子のことを知りたい」とあれこれ聞いていました。
「本当に半年間楽しかった」
「明日は名古山で火葬してもらいます」
そう言っていました。
Mさんは50代で、みかけはプペルみたいです。細っこくて肉体労働だから身なりは構わないし。
でもわたしが知っている中で1番純粋な50代の男性です。
何十年もMさんと同じ会社にいますが、彼の美しい心には絶対に敵わない!と、何度も何度も思い知らされるのでした。
たくさんノラネコが出入りしている会社なのですが、車にひかれてアゴが砕けたネコを病院にいち早く連れて行き、治療してもらったこともありました。
Mさん、本当にありがとうございます。天使です。
花子、最期は幸せだったね。良かったね。