朗読講座の田中先生が小林みね子さんに貸した本を、返すのは次の朗読講座の日だからと又貸ししてくれました。
1日であっという間に読めました。
出だしからは全く想像できない男女の物語。
宮下奈都さんは上智大学文学部哲学科卒。
この本は2004年に新人賞佳作に選ばれた作品です。
彼女が2015年に書いた『羊と鋼の森』で本屋大賞を取りました。そちらも大好きで読んでから映画も観ました。
この『静かな雨』は『博士の愛した数式』のオマージュかな?女の子は交通事故で記憶が1日しか持ちません。
そして本文の中に題名こそありませんでしたが女の子の大好きな本の内容が書かれていました。
作者が哲学科卒なのをあとがきで知って『なるほど」と思うセリフや考え方が何度か出てきました。
女の子が焼く鯛焼きがどんなにおいしいか説明する場面で、主人公がどれほど彼女を好きなのか伝わって来てジンとしてしまいました。
お姉さんに「後悔しても取り返しのつかないこともあるんだよ」と言われた主人公が、お姉さんが取り返しのつかない後悔をしていると確信するところ。
[事故にあって足を悪くした人が、先天性の麻痺を持つ僕を見て、こっそり、あの人とは違う、と線を引く。]
このフレーズが人間くさくて、鋭い。
短いふたりだけの世界なのに、どんどん関係性が変化するのがとてもおもしろかったです。
お借りしたのが単行本でその表紙の油絵もとても美しいです。