朝、会社に行こうとしたら、小学生の男の子がマンション玄関をでた所で泣いていた。
若い女の人が学校に行きたくない理由を指を立てながら、1から4まで聞いていた。
子供は歯をくいしばり目の回りに涙をつけてただ遠くを見ていた。
そのうちわたしと目が合った。
わたしは思わず近づき涙声で、男の子の肩に手をあて「おばちゃんにも教えて」と何度か言った。
男の子の表情がゆるんだ。
その時、もっと若い女の人が玄関に現れ、怒りながら男の子のそばに近づいて「先生がわざわざ迎えにきてくれたんだから学校に行きなさい」と、むりやりランドセルを背負わせた。
男の子は小学校2年生で、女の人はお姉さんらしい。
女の人ふたりには、わたしの姿は見えないらしい。ふしぎだ。
マンションから学校に行く道の階段をおり、坂道の所で、男の子ははげしく泣いて、抵抗しながらも先生にひきずられるように、学校に行った。
「もうすぐ休み時間が終わっちゃうから、学校に行ったら好きなことしていていいから」と先生が言った。
わたしは、ヨシオのことを思った。