もう、いつだってセミと聞くと、すぐにわたしはふるさとにいるのです。
おうちの前にとても広い庭園がありました。今は新しい住宅が15軒も跡地にたっている広さです。
でも、その庭園は夏になるといつだってわたしのお庭だったの。
大理石でできた広いテーブルに寝そべると、ひんやり冷たくって、
ぐるりととても高い木が、テーブルのまわりに立っていて、まっさおな空、おいしげった葉。
とくにその木の蜜はおいしいのでしょう。セミがびっしりびっしり。
脳のずいまでセミのなきごえがしみわたる。
いつもお昼ねしていました。
短い命だと知っていました。