何の予備知識もなく、有料動画サイトの新作ラインナップで見つけ、プラス400円で購入して観ました。
千原ジュニアさんが役に憑依した演技と書いてあり興味がわきました。
冒頭から最後まで、千原ジュニアさんと子役の平尾菜々花さんの演技に引き込まれてました。
殺人を犯し刑務所から出て5年間引きこもっていた男が、目の前に住んでいる5歳の少女の身体があざだらけなのを見て、思わず誘拐してしまう。
子どもと一緒にいたい。子どもを育てようとする気持ちが、彼を前向きにさせていきます。
このまま変われるのか?でもすぐにキレる危なっかしい彼に何度もハラハラさせられました。
千原ジュニアさんの泣き顔や怒り顔が恐ろしくて醜くてすばらしいのです!
平尾菜々花さんを「ちゃん」なんて呼べません。あまりにも圧倒的な演技と存在感でした。
完成から3年かかってやっと公開にこぎつけました。
出家した清水富美加さんが出演していたり、歌を川島絵音さんが歌っていたりしたのが、公開が先延ばしになった理由かもしれません。
お蔵入りすることなく、こうして去年の10月にぶじ映画館で上映され、動画サイトでも観られるようになり、わたしも観ることができて良かったです。
邦画ならではの面白さ。
今の日本の現実も見せつけられました。
男が花屋で働きだし、そのため保育園に入れる事にするとかかる費用が家計を圧迫し、夜も働くようになる。そして疲れから失敗して罵倒されるシーン。
こぶしを握りしめ怒りを辛抱する千原ジュニアの震える拳にハラハラしました。
同じ職場でありながら、アルバイトを見下すシーンは現実の方がもっとひどいような気がします。
年金不正受給、母子家庭の大変さが物語の中に溶け込んで表現されていました。
子どもの過去の辛さを思い事件を起こしてしまう。生き方かほとほと下手な男。でもそこには優しさしかなかったラスト。
たくさんの方にぜひ観て欲しい映画でした。