前進座『柳橋物語』
とても美しいパンフレットが何と300円でした。
姫路市民劇場。姫路市民会館ホール
18時〜休憩入れて3時間弱。
山本周五郎原作
江戸で祖父と二人慎ましく誠実に暮らして来たおせん。
橋の下でおせんに告白した昌吉は、次の日から大阪に大工の修行に行く。
3年後迎えに来るという言葉を信じ、言いよる幸太をふり、昌吉を待っているが、江戸が大火事になり、祖父と死に別れる。
おせんを心配した幸太は、おせんが火事の中助けた赤ん坊とおせんの命を守り死んでゆく。
正気を失ったおせんと赤ん坊を藁屋の夫婦は本物の親子と思い養う。
徐々に記憶を取り戻しみんなで喜んだのもつかの間、今度は町が洪水に襲われ藁屋夫婦がいなくなり、おせんは赤ん坊と二人きりになる。
そこへおせんを探し当てた昌吉が現れ、幸太との間に出来た赤ん坊と勘違いし、おせんの悪口を言いふらし、自分は別の女と結婚。
近所の人たちは噂を信じる。
おせんの幼馴染みのおもんはお金持ちの娘だったが、火事で何もかも失くし娼婦となり不治の病に倒れる。
そんなおもんを看病しながら生きていくおせん。
そこへ昌吉が、やっと本当の事を知り謝りに来るが、赤ん坊は幸太との子だと言い張る。
本当に自分を愛してくれていたのは幸太であった。
橋の下での約束さえしなければ違った人生だったのか?
ひたすらに人のために誠実に生きたおせん。何の見返りも求めずおせん達を養った藁屋のご夫婦。いつまでも子供のころの友達を大事に思うおもん。
昌吉にしても、目の前に赤ん坊がいれば嫉妬で目もくらみ勘違いもするだろう。
近所の人たちだって、噂を鵜呑みにする弱さを誰でも持っている。
前進座の役者さんたちのしっかりとした演技に涙があふれ止まらなかった。
貧しくても気高く優しく生きる事は美しい。尊い。
きっとおせんのような人は昔も今もたくさんいるのだろう。
そんな人ほど、何も自分から発信する事もなくただひたすら朴訥に生きているのだろう。