家庭教師のコーディネーターの方から
「数学の先生はがさつですけど子供には人気があります」
と聞いていた。
その先生は、玄関に靴を脱ぎっぱなしで入ってきた。
子供部屋は散らかっているので、リビングで教えてもらうことにしている。お茶を出して、わたしは自分の部屋に引っ込む。
間もなく娘が
「ケーキだしてくれる?」
「えっ?もう休憩?」
言われるままにケーキを出すと、先生は喜んでくれた。娘に
「こういう問題は片手でペンを持ち、もう一方でスプーンを持って食べながらやる位がちょうどいいんだ」
と言っている。
帰り際
「ぼく、がさつって紹介されたらしいですね。ほめてないですよね?むしろ悪口ですよね?」
「そうですね、別の言い方がありますよね」
とは言ったものの、別の言い方が思いうかばない。
「きっと他の生徒の家にも、がさつって紹介されてるんだろうな」
「まあ。そうですね…」
「では今度は土曜日で」
「ありがとうございました」