うれしくてこんなに泣けるとは思わなくて
うれしいは、ありがとうだったんですね。
きがつかなかった。きのうまで。
わたしね、峠三吉さんのテキストに負けて、チケットを売りながらも、迷っていました。
むずかしいことば。重い内容。
たのしくもおもしろくもないのに、観にきてと強くは言えず、興味のある人に来てもらう作品なのかと。
本当は興味のなかった人にこそ、来てもらうべきだったのに。
本番前日、いつものお芝居にくらべ、予約の状況もおもわしくありませんでした。
がく然とし、後悔したけれどもう遅かった。
気がついたら、前の劇団の人に電話していました。
ただ、聞いてもらいたかっただけなのに、すぐに「行くよ」と言ってくれ、四人もあつめてくれました。
ダリンはどうしても仕事がぬけられなかったのですが、かわりにダリンのお兄さんが。
雛子も、ひとり自転車にのってきてくれました。
会社の人も、急だったのに、たくさんきてくれました。
今日は、お礼を言ってまわりました。
何度もご夫婦で、みにきて下さる方は
「今までで一番よかった」とおっしゃいました。
お客さまの感想を、かってに自分で決めてしまった間違いに、気づいたこと。
そして何より、自分のために何かをしてもらった時に、うれしいと一番感じるんだ、と知ることができました。
この暑かった夏
朗読の中に
「水、水だわ、ああうれしい、うれしいわ」
というセリフがあり
のどがかわくたびに、いくらでもお水がのめるしあわせを、思いましたが
その時のうれしいは、お水をもってきてくれた人への、感謝だったんだなぁと、
今はおもいます。