ある土曜日の昼時、電車を降りると、中学生らしき男の子が前を歩いていた。
髪は整髪剤でピンピンに立たせ、学生服のズボンはまたがみが長い。
一生懸命パンツが半分みえるくらいまで下げようと、ベルトで何度も調整していた。
すると60才くらいの男性が、彼の背中をたたき「さっきはありがとう」といった。
その妻らしき女も、中学生の肩に手をかけ「席をゆずってくれてありがとう」と言った。
中学生はうれしそうに照れながらほほえんだ。
べつの男性も、中学生の肩を抱くようにしてニコニコはなしかけている。
ますます中学生はベルトをいじってガラが悪そうに歩いていた。
前を歩く中学生の友人たちも、なぜかニコニコしていた。
まじめそうな学生なら、こんなにみんな声をかけなかっただろう。
夢じゃないけどね。