一回目の音響は、おっかなびっくりの音だしでした。
となりの照明さん(舞台美術もやってらっしゃる大御所さま)は狭いスペースの中でピリピリしていました。
本編は大きな失敗はなかったものの、最初と最後が決まらなかったし、なにかかっこよくなかったのはわかりました。
「雰囲気でわかるだろう。雰囲気で」
と照明さんや演出さんに言われ、
「それがわかりませんっ!だから聞いてるんです!」とキレて
ブースに閉じこもり泣きながら、お客さまのアンケートを読みあげるのを聞いていました。
できようができなかろうが、後二回。
ほとんど眠れないまま、一番辛かったのは自分を信じられない情けなさ。
そう、まったく自信が持てないとは!
圧倒的な練習不足。
9場面のそれぞれの暗転の時の音楽、効果音とのクロスクロスクロス。客入れ客だし。
二日目は早めにアトリエに行って「わたしが決める、そして後悔しない」と、全ての曲を出す音量を決めなおしました。
二回目なかなかうまくいったけれど、気に入らないところもあり、
そして三回目は思ったとおりにできたのでした。
でもそれは、はたしてわたしの力なのかしらん?
きっと違う。
ひとりでは出来なかった。チーム一人一人がそれぞれの部署で全力でかんばってるいるのを、知っていたから。
キャストは2人だけなのに、舞台転換のために3人の男性劇団員。しかも受付もやりコーヒーサービスもしたり。
今回の演出は(プロデュースFは4人の演出がおり、役者も兼務)前説後説で笑いをとり大活躍。
わたしに音響をやらせてくれたんだという思いが、集中力となったのでした。
プロデュースFという劇団の音響が失敗できないというプライドが、ふしぎな力になったのでした。